2018.9.23 UPDATE

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日朝友好ネット共同声明について

2018年9月23日
自主・平和・民主のための広範な国民連合京都 事務局長
佐々木道博

 前回の更新から、かなりの時間がたって世界も日本も様相が一変しています。
  春の米朝首脳会談からも3カ月が過ぎていますが、主眼の「朝鮮戦争終結」がなかなか見えてきません。朝鮮半島のこれからを考えるとき、まず「朝鮮戦争の終結」が起点になるべきだと思っています。去る7月24日に「日朝友好ネット」が記者会見を行いました。「京都新聞」「毎日新聞」では取り上げられていましたが、それ以外は取り上げられていません。 このことから、当日配布された共同声明全文をここで紹介いたします。併せて、角替氏(前回の更新で、訪朝報告を掲載、バックナンバー参照)の思いを掲載いたします。


日朝国交正常化のための提言

2018年7月24日
日朝友好京都ネット
日朝友好京都ネット地方議員の会

1 文化・学術・市民交流を促進する日朝友好京都ネット(略称:日朝友好京都ネット)は、日朝の交流促進と国交正常化をめざして活動しています。私たちは今年4月27日の南北首脳会談、6月12日の米朝首脳会談以降の情勢変化を日朝間の懸案解決の好機ととらえ、日本政府の積極的な取り組みと市民の理解を求めて以下の提言を行います。

1 日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)に対する従来の「敵対と制裁」路線に決別し、「友好と対話・交流」路線へ転換すべきである。南北朝鮮は、「板門店宣言」において2018年内に朝鮮戦争を終結させ、平和体制に移行することを約束した。また、戦争状態であった米朝首脳は「米朝合意」によって「新しい関係」に向かうことを宣言した。朝鮮半島に残存していた冷戦構造が解体に向かい、東アジアに平和体制が確立しようとしている。このような情勢の中、日朝間の非正常な関係も早急に解決されるべきである。したがって、日朝が「対立から和解へ」向かうことは、これ以上待つことのできない最優先課題である。

2 日本政府は、日朝平壌宣言を誠実に履行すべきである。
(1)日朝平壌宣言は、両国の懸案問題に対する同時履行をもとめている。したがって、一方的な要求を突きつけたり履行そのものに付帯条件を付けることは、適切でない。日本政府は、朝鮮側に「日本人拉致問題」の解決を要求するだけでなく、同時に、未着手のまま放置されている各方面に亘る「過去清算」を誠実に進めるべきである。

(2)「日本人拉致問題」は、日本の主権にかかわる重大な問題であり、日朝平壌宣言によって解決の道筋が示されている。したがって、「日本人拉致問題」は、日朝平壌宣言に基づいて日朝両国が国交正常化に向かう過程で取り扱われるべき問題であると認識する。

(3)日朝平壌宣言は、国交正常化に至る里程標である。日朝市民による交流と民間外交、そして日朝間の経済活動を保障することは、日朝平壌宣言の精神に則ったことであり、国交正常化への道程に資する。このことを日本政府は強く認識し、推進すべきである。

3 日本政府は、在日コリアンへの差別政策を転換し、直ちに共生施策を実行すべきである。
 日朝平壌宣言は第2項において「在日朝鮮人の地位に関する問題」を「過去の植民地支配」に起因する問題と位置付けている。そして、「在日朝鮮人の地位に関する問題」は「国交正常化交渉において誠実に協議する」ことと明記されている。 
  したがって、日本政府が朝鮮学校を高校「無償化」の対象にせず、経済制裁と称して在日朝鮮人の祖国往来(朝鮮民主主義人民共和国に暮らす家族・親族・友人との面会)を実質上妨げているのは、明らかに在日朝鮮人への政治弾圧であり、人権侵害であり、日朝平壌宣言の精神に反する。
 日本政府は、日朝平壌宣言の精神に則り、とりわけ各種教育無償化措置を朝鮮学校に速やかに適用し、更に民族教育支援策の充実を進めるべきである。また一日も早い「祖国訪問事業」の再開と支援を急ぐべきである。

4 日本政府は、朝鮮半島の主人公は朝鮮民主主義人民共和国・大韓民国の双方であるとの大原則を確認し、板門店宣言を尊重して両者との友好・交流を促進すべきである。

5 日本政府は、日朝間の諸問題は北東アジア・世界の平和と安定に深くかかわっていることを認識し、米・中・ロ各国との関係においても友好促進・平和創出の役割を果たすよう外交方針を確立し、努力すべきである。

6 私たちは、昨年衆議院選挙直後の「明らかに北朝鮮のおかげで勝てた」などという閣僚の発言を決して忘れず許さない。市民には、とりわけ「北朝鮮」問題について、日本政府の虚偽と謀略に騙されない見識と主体性が必要となっている。日朝友好京都ネットはそれに資する役割を担っていく。


「日朝国交正常化のための提言」に込めた思い

2018年9月9日
角替 豊

 日朝友好京都ネットは、7月24日に「日朝国交正常化のための提言」を発表しました(資料)。7月27日が朝鮮戦争の休戦協定締結日なので、これが念頭にあったわけです。当日は記者会見も行い、翌日には内閣総理大臣および外務大臣宛に提言文書を送付しました。「主張」や「意見」は文書の通りです。ここでは運動の前進の為に今後の議論に供したいと願い、提言に込めた「思い」と、提言の発表を通じて見えてきた「課題」とを、率直に提起させて頂きたいと思います。

1:平昌オリンピックから南北会談さらに米朝会談と、朝鮮半島情勢は大きく動きました。私は、これからの道程が決して真っ直ぐで平坦なものでないことは予測しつつ、しかし大きな驚きと喜びをもって、これを受け止めたのです。そして歓迎と支持の強い意思を表明すると共に、「この情勢に、この課題に、どのように向き合っていくべきか」を考えました。
 「板門店宣言」や「シンガポール共同声明」の粗探しや揶揄があり、反対や妨害があります。期待するが故の心配や不安もあり、真面目な批判や指摘もあるでしょう。それらについて、私はこう思っています。
 「お城なら城門を通って本丸に至り、お寺なら山門をくぐって本堂に至ります。双方が、誠意をもって門を開け、勇気をもってその中に入ったのですから、後は歩みを進め続けさえすれば必ず本丸に、必ず本堂に至ることは間違いありません。だから東洋には古くから、入門を成就と同じ様に大切にし評価する知恵と価値観があるのです。全てはこれからですよ」と。

2:私も南北会談や米朝会談を歓迎し支持する者の一人です。その思いと連帯を表明し、アピールや集会や街頭行動を行うことにも賛同します。それは市民的「国際主義」の発露であり、具体化でもありましょうから…。
 私の周辺の運動圏でも支持・連帯の集会や街頭行動が行われ、「平和への歩みを妨害する安倍政権の退陣を求める」アピールも発せられるなど、大いに活況を呈しましたが、私は強い違和感を禁じ得ませんでした。
 私は、私たちが日本で行う運動は、日本社会の人々に働きかけ、日本の政治を変え、日本政府の政策を転換させることが、本来の課題だと思います。そして政府に政策変更を求める活動は、所謂「反政府運動」とは次元が違う戦いだと思うのです。更に現在の日朝運動の課題は、むしろ政府を支持する人々も賛同できる運動を構築できるかということなのですから、ここで「安倍退陣」を掲げるのは、全く的外れではないでしょうか。
 「国際連帯」行動にしても、それを日本を変える運動に展開する主体的な智恵が伴わなければ、単なるイベントになってしまうでしょう。
 日本の左派やリベラルの市民運動は、いつまでもこういうことを繰り返すのではなく、成熟しなくてはならないと切実に思います。日本を変える仕事を担う者は、日本の私たちの外には誰もいないのですから。

 日朝友好京都ネットは、京都から日本の世論と政策を変えていくという課題に向き合い、まずは情勢を正しく認識するために研究会を行いました。一方では「北」の視点、もう一方では「南」の視点、両方の視点から迫ろうという問題意識での研究会でした。その成果を踏まえ、私たちは「日本」のいき方について議論を重ねて、この「提言」をまとめたのです。

3:記者会見には主要紙が全て出席しましたが、毎日と京都(それと朝鮮新報)が報道しただけでした。記者の質問は殆どが「提言2」の「拉致」問題で、「提言3:日本政府による在日コリアンへの差別政策の転換」に関するものは全くありませんでした。私は、これにも強い違和感を持ちます。
 「拉致」は日本だけでは対処できない外交問題だとしても、「教育無償化の朝鮮学校への適用」などは、日本政府が決断すればすぐにでも実現できる内政問題なのですから、マスコミはもっと問題意識をもって国内の人権問題に関心を向け、キャンペーンを張るなどして政府に解決を促す役割を担って欲しいものだと思います。
 市民の求めるマスコミを実現するには、どうすればよいのか。マスコミとの向き合い方は、私たちが運動を進める上での重要課題の一つです。

4:「日朝国交正常化のための提言」を、私は友人たちにも発信しました。すると「三代世襲で独裁で、言論統制や公開処刑や粛清の国なんてとんでもない」「あの国と積極的に付き合うのはどうもネ」などの反応が少なからずあって、実は意外でした。しかし、ここからが「対話の始まり」です。
 これには、政府の共和国政策やマスコミ報道の問題を指摘したり、信頼性の高い良質な共和国情報を提示したり、「見てきた共和国の姿」を語ることなども出来るでしょう。しかし私は敢えて、以下の二点を提起します。

(1)私は、アメリカを支持したりトランプを礼賛したりはしていません。アメリカに限らず、どの国であっても国家というものを支持する立場ではありませんし、国家指導者を礼賛する考えは持っていません。

 誰であれどの国であれ、交流を促進し、理解と友好を深め、平和を確かなものにしょうとする、その努力とプロセスそのものを尊重し、支持し、共に推進していこうというのが、私の立場です。
 共和国についても全く同じことで、朝鮮が安全保障上の脅威だからと敵視し軍備に巨費を投ずるよりも、むしろ交流の促進と国交正常化に努力を注ぐ方が、よほど価値的ではありませんか。

(2)日本は「良い国」とだけ国交を持ち、「問題のある国」とは交流しないという外交方針は成り立つのですか?「良い国」というものや、「問題のない国」というものが、地球上の一体どこにあるのでしょうか?
 アメリカ、中国、韓国、ロシア、その他の日本が国交を結んでいる国々は、自国内にも日本との間にも、「問題のない良い国」なのですか?

5:意を尽くせませんが、私の訪朝報告記「Dream2=むすびに=」の文書を以下に記して、問題提起の締めくくりとさせて頂きます。

 日朝友好京都ネットの役割は、日朝運動を京都で発展させることです。私は、それが「日本の民衆の幸せ」と「世界の平和」のために役立つのだと考えています。そして運動は、その主張や掲げる目的への理解と共感が広がってこそ発展する、と思うのです。
 一方で日朝運動は、政府やマスコミによる悪意に満ちた攻撃と日本社会の偏見の中で、とかく共和国の代弁活動に終始してしまいがちな側面があるのではないでしょうか。
 私たちの運動は、共和国の為の運動やロビー活動ではないし、在日朝鮮人の為だけの運動でもありません。間違いなく「日本の民衆の幸せ」と「世界の平和」に直結しているのです。そのことをより鮮明に発信し、理解と共感と支持を獲得できる運動を確立するために、私たちはもっと「脱皮」しなくてはならないと、改めて決意しているところです。


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