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最近の情勢と朝鮮経済
平成23年5月31日
株式会社京都総合研究所
佐々木道博
前回に続いて、朝鮮経済の現状についての少し詳しく触れたいが、その前に朝鮮半島を取り巻く情勢が大きく動きはじめているので、まずその点から述べたいと思う。
本年5月は、6者会談再開に向けての外交が活発に繰り広げられた。昨年末、アメリカはいままでの戦略的忍耐の方針から対話への道へ方針転換した。これに、応えて日本は、前原外相(当時)が1月4日に、今年は、日朝対話を進めると談話を発表した。そして、1月19日ワシントンで開かれた中米首脳会談では、胡錦濤主席とオバマ大統領は「対話による朝鮮半島の核問題の解決と平和システム構築、それに向けた相互協力に合意」したといわれる。5月9〜10日、ワシントンにおける第3回中米戦略経済対話でも、この合意が再確認されたという。そして、これを受け、アメリカのボスワース朝鮮問題代表が16日、韓国を訪問し朝鮮への食糧支援プロセスの開始を通知し、また一方で国務省は、ロバート、キング人権人道特使を、24日にピョンヤンに派遣したのである。そして、ロシアもこうした動きに対応し、5月17日フラトコフ情報局長(元首相)をピョンヤンに派遣し金正日総書記と会談し、6者協議への協力を約し、5万トンの食糧支援と相互経済協力に合意した。
これに続いて、金正日総書記が、中国を訪問し胡錦濤主席と会談し「今後の6者協議再開など対話を通じた平和的解決をめざし、障害を取り除くため意思疎通をはかる」ことに合意した。現在、その最大の障害とは、韓国李明博政権の反北姿勢である。また次の障害は、日本政府の反北姿勢であるが、これについても5月8日の「拉致国民集会」において、今までの制裁一辺倒の姿勢から日朝交渉推進へ大きく舵を切ったことで、今後政府としても日朝交渉の準備に入らざるを得ないであろう。いずれにしても多少時間を要しても対話の大きな枠組みは進んでいくと思われる。私も4月に池口恵観大僧正の訪朝団の一員として訪朝しましたが、このとき朝鮮側は最高人民会議常任副委員長ヤンヒョンソプ氏が出てこられ、池口大僧正と会談をされ、日朝間の懸案について話し合った。これは、5月28日のTBS報道特集でも詳しく報道されました。これには、大きな反響があり日本国内でも、いままでになかった前向きな動きと成ってきていると確信させるものである。
さて、この1カ月の動きを見てきたが、日本では震災報道と原発報道ばかりで、(しかもウソばかり)朝鮮
半島情勢が影に隠れがちであったが眼を見張るばかりの急速な動きであった。
さて、本論の朝鮮経済の現状の分析の論をもどすが、この一年間の動きを時系列で確認しておく。
まず、2010年3月に、ソ連崩壊以降92年から生産停止していたビナロン工場が再稼動した。このビナロン
は、イ・スンギ博士が京都大学に在籍中に開発された石炭から造られた繊維である。この時京都大学では、桜田博士がビニロンを同時期に開発された。
このビナロン工場は、大コンビナートで肥料工場、化学製品工場などを併設し、肥料だけで年間60万トン生産可能で朝鮮の農業に革命的な変化をもたらしています。農業生産年間600万トンが可能となり、これで今年の収穫から食料問題がほぼ解決したといわれております。繊維製品も輸入に頼る必要がなくなった。
コークスを使わず製鉄を完成させたチュチェ鉄に続いて、自国で採れる資源をもとに自前の科学技術で開発したことは、金正日総書記も核兵器を開発したことよりも意義があると絶賛したそうである。
次にIT(情報技術)産業について触れておきます。昨年の2月の段階で携帯電話の普及が10万台と書きましたが2010年末に、オラスコム社の発表では、45万台に増加したとの事でした。そしてこの4月に現地で確認したところ70万台まで普及し、毎月8万台のペースで増えてきているとの事でした。年内には130万台以上今後数年で、朝鮮の全世帯の600万台に達すると経営主体のエジプトオラスコム社は、見ているようである。
次に、電子図書館について触れますが。2006年金策工業大学に、初めて電子図書館ができたが、昨年金日成総合大学に本格的なものが出来た。この電子図書館は、わが国の東大、京大にもまだ存在していないデータベースを完備し、昨年10月開館6カ月ですでに20テラバイトの容量の論文、冊子、書籍など約200万冊をスキャニングし自由に使えるよう整理されておりました。他の大学や企業、工場の研究者がいつでも検索できるシステムとなっていました。
今年アメリカのハーバード大学の研究者が此処を訪れ、わが国にもないシステムが構築されている、と驚いたという新聞記事も出ていた程である。ことIT産業に関しては、昨年アメリカのマイクロソフトに対抗して、朝鮮はドイツ企業と合弁で、新しくレッドスタ(赤い星)というリナックスOS(基本ソフト)を開発し世界に売り出した。これは、業界では、大きな話題にもなったのである。まだアプリケーションソフトが、20アイテム程度で普遍性に欠けるが、マイクロソフトによる2003年のWindows XPレベルに達しているとプロの間では、評価されているといわれている。
この様に、朝鮮では、自前の科学者を、どんどん育成し自国の資源を最大限活用し国づくりを進めています。これが彼らの言う自主、自立、自衛の国家建設の方針である。
ソ連、東欧の崩壊でシベリア鉄道もストップし、エネルギー不足に悩まされ、機械のメンテナンスもできなくなり工場の稼動率が30%まで落ちた90年台、そこへ2年連続の水害で経済は,大打撃を、受けたのであった。まさに90年代の後半は崩壊の危機に直面していたのである。
こうした時期に金日成主席が亡くなり、国民の悲しみは、一層大きなものであった。そしてその後3年間喪に服した金正日総書記は、この事態に立ち向かい先軍政治を前面に立て国防を、第一に考えそして第2に人材育成人づくりに邁進したのであった。愛国心と親孝行を教育の中心に置き、国の為に一心団結の精神で尽くしていく子供たちを、育てて来たのです。
そうした人材育成と教育の成果が、こんにちの朝鮮の復活につながっているのである。
経済問題では、あと2、3点触れておくならば、対外貿易についてである。2000年には、20億ドル程度であったが、2010年には、80億ドルに4倍増となっている、アメリカ、日本などの経済封鎖制裁の中での大きな伸びである。
特に中国との貿易は、2001年7億ドルが昨年35億ドルになった。2006年の核実験以降 貿易は一時、停滞していたが一昨年から急伸し始めている。今年は対中貿易だけで60億ドルに迫る勢いである.対韓国との貿易もこれだけ関係悪化の中でも20億ドル前後を、維持している.開城の工場団地に韓国企業120社以上が、進出して生産を行っているが、朝鮮の労働者4万6000人以上が働いている。今後南北関係が好転すればすぐに10万人態勢になると予想される。
さて、こうした経済をおおまかに見てきましたが、現場では、各地に大きな規模の食品加工工場や果樹園(大同江果樹園)は1000ヘクタール規模、などを地元の人だけでなく軍隊を大規模に動員し次ぎ次につくっている。またヒチョン水力発電所2号機も建設中で今年完成する予定であるが、この発電能力も約40万キロワットである。同じ水系に後数ヶ所発電所を作り200万キロワットを目標にしていると聞いております。
このほかタイル工場や銅線工場などいくつも視察しましたが、CNCと呼ばれるコンピュータ数値制御で中央管理された最新鋭の工場にすべてが変わりつつあるということが最大の変化であるといえるでしょう。
2012年の強盛大国の扉を開くという目標はすでに達成されたと見てよいが、それよりも各国、中でも中国、EU(欧州連合)各国が狙いをつけているのは、朝鮮の地下資源である、韓国政府の調査によると、日本円で約600兆円の金属類他の資源があるとされています。この他にも、世界のウランの約半分が朝鮮にあるとされていますし、海岸沿いからは、石油資源の発見され、中国企業と合弁で開発されていることも報告されています。アメリカも水面下でどんどん朝鮮経済に入りこんできていると言われております。
紙面に限りがありので次回は、中朝同盟の復活と政治経済面における大きな影響について論じてみたいと思う。
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