■広範な国民連合(全国)
 ・活動(速報)
 ・月刊「日本の進路」
 ・「日本の進路」地方議員版

 ・結成にいたる経過
 ・憲章
 ・めざす進路
 ・役員


■広範な国民連合・京都
 ・情勢と方針
 ・賛同の呼びかけ
 ・会員の意見・投稿
 ・バックナンバー
 ・役員
 ・規約
 ・サイト開設にあたって

広範な国民連合・大阪


広範な国民連合・北海道

■意見・投稿先
kokuminrengo.kyoto [a] gmail.com
([a]をアットマークに変えて送信して下さい)

 

[論評]「米欧経済の破局と日本(2)」

  株式会社京都総合研究所
佐々木道博

 前号で指摘したアメリカ経済の実状ー0.1%の大富豪が富を独占する実態—に対して「ウォール街を占拠せよ!」とのスローガンの下、反貧困の抗議デモが巻き起こり、すでに2週間にわたり続いている。700人の逮捕者を出しながらも、衰えることもなく、ロサンゼルスなど全米100都市へ拡大の様相を見せている。ノーベル経済学者スティッグリッツや映画監督のマイケル・ムーア、オノ・ヨーコなども支持を表明し、今後のアメリカの将来を占う大衆運動へ発展しつつある。又、今日のニュースによると全米自動車労組や教職員労組もこのデモに合流し1万人以上に膨れあがったと報じられた。いずれ近い将来数十万人から百万人のデモに膨れ上がるだろう。前回触れたように、米失業者は2500万人にのぼり、実質的失業率は16%以上、19歳〜25歳の失業率は40%にのぼると報道されている。特に若者の参加が多く、「1%の富裕層でなく、99%の国民のための政治を」と訴えている。巨額の税金と借金(国債)を使い、「強欲で腐敗した」ウォール街を助け、その借金を国民負担で賄おうとしている政府に対し、抗議するのは至極当然であろう。スティグリッツ氏もそのことを指摘している。

 さて、この一カ月、欧州においても同様で、ギリシャ危機を導火線とする、欧州経済危機問題のため、G20、IMFC(国際通貨基金・国際通貨金融委員会)、ECB(欧州中央銀行)など、次々と国際会議が開催され、ギリシャ破綻を見越した欧州経済安定基金の拡大を各国に訴えている。10月5日、「日経新聞」の1面トップに、日本にもその要請圧力が来ていることが報じられている。震災復興予算もままならぬ時に、ドブに捨てることになる可能性の高いこの基金に日本から数兆円規模の資金がまた国会で議論されることもなく投入されるかもしれないのだ。こうした動きには、警戒しておく必要がある。欧州経済は、またしてもムーディーズが、イタリア国債の格付けを3段階引き下げたし、フランスベルギーの銀行破綻などが相次いで報道されている。これに対してEUは問題の先送りしかできず、より大きな問題をかかえながら、大きなクラッシュへの道を歩んでいる。ギリシャ国債だけでも20兆円、欧州全体で200〜300兆円の銀行損失が発生するだろうとの試算も出されている。ここ1〜2カ月、目が離せない状態が続くであろう。

 さて、翻ってBRICS諸国といわれる中国、ロシア、ブラジル、インド、南ア諸国はどうだろう。特に中国はリーマンショック後、いち早く4兆元の財政投資を実施し、ショックをやわらげ再び10%前後の高成長を3年間続けているが、米欧の金融緩和と低金利で、原油、食糧等への投機が強まり一層のインフレが進み、中国でも5〜6%、ブラジルでは10%以上となっている。度重なる金融引き締めにも限界があり、物価が高騰している。しかも金融危機による株価の大幅な下落で富裕層も打撃をうけている。

 中国経済も米欧日をはじめとする先進国との貿易比率も高く、当然、経済危機の影響を直接受けることになる。今年は経済成長も減速し、8.5%の成長になると報じられている。

 しかし中国経済を見る時、見落としてはならない点がある。それは巨額な外資準備金、国の借金が他国と比べ圧倒的に少なく(GDPの10分の1程度)、そして最も重要点は大都市以外の地方都市や農村部に大きな開発投資の余地が大きいということ。また、圧倒的な労働力の存在である。日本が73年から79年のオイルショックをいち早く乗り越えたような潜在能力があるといことである。次に来る金融危機にもダメージを受けるが、最も早く立ち直るのは中国であるとみてよいであろう。

 中国は1820年大清帝国の時代、世界のGDP(国内総生産)の30%が中国一国で占めていたことを知っている。(世界銀行の報告書)ここ10年2020年までに200年ぶりにその地位を取り戻すことに邁進しているし、それを実現する可能性が高いと考えられる。そして2020年以降、経済成長は鈍化していくであろう。日本も戦後40年1985年「ジャパン・アズ・ナンバー1」といわれ、黄金時代をむかえたが、その後の事は皆が知っている通り、バブル崩壊、長期低迷であった。日本の後追いをするかのように、中国も改革開放以来30年、高度経済成長を続けてきた。あと7年でその40年目はやってくる。2世代(40年間)に亘ってつくった財産をあとの世代が食いつぶすということなのか。これは歴史的に見て、どの国でもそういう傾向があるといことである。今後一層、中国そしてインド、ロシア、ブラジルなどの国々の経済的存在感は増してくるだろう。日本の生きる道もおのずと定めなければならない時が迫っている。従来の対米従属路線は、地獄への道となりつつある、一刻も早く放棄しなければ日本の未来もないと言わざるをえないだろう。

 さて、翻って日本の財政状況を検証してみよう。財務省は声高に財政危機を煽り、増税を国民に押し付けようとしているが、実態をよく見る必要がある。手元に2010年12月末現在の財務省の資料がある。これによると<国内非金融部門>の資産内訳(1)家計(自営業者含む)資産1489兆円(預金766兆円、証券187兆円、保険・年金準備金419兆円)(2)民間非金融法人資産785兆円(預金、証券含む)(3)一般政府資産471兆円(中央政府、地方公共団体、社会保障基金・内訳財政融資資金預託金43兆円、証券220兆円含む)で(1)(2)(3)の合計で2745兆円となっている。

 そして(国内非金融部門)の負債内訳として(1)家計(自営業を含む)360兆円(2)民間非金融法人負債が1067兆円(借入324兆円、証券463兆円、株式281兆円)(3)一般政府負債1050兆円(借入168兆円、証券860兆円)この(1)(2)(3)の合計が2477兆円である。この資産の中から対外債権575兆円が海外に出ており、対外債務330兆円を海外から借りている、差し引き、対外純債権が政府民間合計で245兆円存在しているのである。

 これを見ると確かに国と地方の一般政府負債が1050兆円(中身は国債、地方債であるが)、あり巨額の国の借金である。GDPとの比較は、優に200%を超えており、先進国の中でも最悪である。そして今回の米欧の金融危機の第二幕において海外資産の中でも株や債券の大幅な目減りや輸出産業への打撃などが危惧され、日本政府(財務省)や金融機関、大企業などは身構えている。しかし一方で国債はいまだ国内で消化され、金利も低く、円は高くなる一方である。これは他の米欧諸国に比べ、比較優位に立っているとことである。復興補正予算の10兆円〜15兆円の予算は2700兆円の国の総資産からすれば0.5%程度であり、本来はどこからでも調達できる金額なのである。財務省、日銀はここ数ヵ年でも、円高介入や外貨資金の運用で40兆円以上の損失を出していると植草一秀氏の試算でも明らかになっている。財務省、日銀はこれに対して一切責任も取ろうとしないばかりか、国民負担の増税ばかりを主張している。増税の前に彼ら当局者の責任追及が先である。政府民主党は政治主導をマニフェスト(政権公約)で宣言したが、結局は何もできず、実態は財務省を中心とする官僚の悪事を隠すための道具でしかなくなっている。

 加えていうなら震災直後には、日銀は3月1カ月で120兆円もの資金を市場に投入した、また一方国会では「4K」といわれる子供手当や高速料金、農業個別保証、高校無償化など全部合計しても数千億円にもならない金額で、自民・公明と対立し、何ヵ月も国会で茶番劇を繰り返している。これを見ても誰が権力者為政者なのか、誰の眼にも明らかである。すでに政党政治そのものが意味をなくしている。国民の多くが、あまりのバカバカしさにあきれているのも当然だろう。マスコミも権力の所在がどこにあるのかをよく知っており、財務省や警察、検察のリーク情報を喜んで流し続けている。少しでも権力に刃向う姿勢を見せた小沢一郎氏などには徹底した弾圧を加える。原子力行政でも同様で、福島原発に異を唱えた福島県知事・佐藤栄佐久氏も事件をデッチ上げられ、逮捕され、知事辞任へ追い込まれた。これらの事も氷山の一角で今回の原発事故でも明らかになったように、経産省、東電、マスコミや学者等々の利権構造の中でウソばかりですべてを塗り固めてきたのである。忍耐を美徳としてきた大多数の日本人もようやく目覚めてきたようである。9月19日の反原発の6万人の集会や反TTP(環太平洋経済連携協定)の各方面での反対運動、その他基地問題等でも同様に最近非常に活気づいている。新たな国際的な金融危機に際し、中東だけでなく、欧州、アメリカでも新たな大衆運動国民運動が開始されている。日本人もこうしたばかげた政党政治に見切りをつけ自ら行動することによってしか、政治を変えることができないことを自覚すべき時期が来たようである。

 今後の国際経済情勢と政治情勢に我々は、一層の注意力を持って見ておく必要がある。



今月の草花 <金木犀>年により、2回咲くことがあります


<自主・平和・民主のための広範な国民連合・京都 連絡先>
605-0846 京都市東山区五条橋東2-18-1五建ビル3F 京都総合研究所内
メール:kokuminrengo.kyoto [a] gmail.com
([a]をアットマークに変えて送信して下さい)